手術を受ける患者への処置とケア

手術を受ける患者さんは、安全かつ安楽な医療と看護を受ける権利があります。そのため看護師は、術前・中・後に行われる処置とケアの根拠を理解して、術医、麻酔科医らと連携して質の高い看護を実践していく必要があります。

患者の不安を如何に軽減するか

口腔内や歯垢には、多くの嫌気性菌、レンサ球菌が存在しており、鼻腔にもブドウ球菌が定着しています。手術の麻酔の際に人口換気で挿入する気管挿管は、口腔・鼻腔を通じ手期間に挿入されるため期間汚染の恐れがあります。また術後は、唾液や気道分泌物が減少するため、口腔内の自浄作用が低下します。したがって、手術の数日前から歯磨きやうがいををしっかりと行い口腔内を清潔に保っておくことが大切です。

手術前日には、患者の同意していない手術や輸血が行われないように患者を守る、あるいは医師が訴訟などに際して、治療者としての法的立場が守られるようにするため手術承諾書や不潔承諾書を取り交わす必要があります。後者は宗教上の理由で手術時の輸血を善しとしない患者さんがいるためです。

当日は、患者さんの現病歴、既往歴、術式、全身状態、感染症の有無といった術前情報を得て、オペ室の準備(必要物品の無菌操作での準備、手術台や体位の固定器具の準備、室温・湿度の調整など)を行います。術後はオペ室から戻った直後、患者さんに無事に手術が終わったことを伝えるとともに、その覚醒状態(呼名反応、深呼吸、開眼、把握力など)や痛みの有無を確認して、疼痛を訴えた場合にはそれに対処します。血圧、呼吸などのバイタルサインをはじめとした全身状態を観察して、異常の早期発見に努めます。

術後、出血による貧血や創痛による浅呼吸などにより生じる低酸素症を和らげ、麻酔からの覚醒を促進するために、酸素吸入が行われます。看護師は、医師が指示した酸素の吸入量、東洋方法を守り、呼吸状態や動脈血酸素飽和度などの関連データを観察します。

看護師の院内感染(MRSA等)対策

医療機関のなかに感染源が存在し発症した感染症がいわゆる「院内感染」です。多種多様な抗菌薬が大量に投与された結果、院内環境には、耐性菌や複数の薬剤に対して耐性を持った多剤耐性菌が生き残るようになってしまったのです。大学病院を中心に院内感染の発生で高齢者が死亡する等の報道が度々なされており、医療機関は組織的かつ科学的に対策を実施する必要に迫られました。

手洗いは対策の基本

院内感染を引き起こす原因菌としてはグラム陽性球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌【MRSA】、バンコマイシン耐性陽球菌【VRE】、ペニシリン耐性肺炎球菌【PRSP】など)とグラム陰性棹菌(多剤耐性緑膿菌【MDRP】、セラチア菌、レジオネラ菌など)があります。

病院の医療従事者のなかでも患者さんとの接する機会が多い看護師は院内感染対策について正しい知識を持ち、医療現場で実践することは、患者さんの安全を守り、医療の質を向上させるだけでなく、職務上の曝露から起こる自らの感染を防止することになります。

新生児・小児、高齢者、糖尿病患者、手術後の患者などの易感染状態にある患者、あるいはICU、NICU、手術室など特定の部署ではそれぞれに合った院内感染対策が必要でとなります。例えば、手術室の看護師は手術部位感染(SSI)に注意し、オペを行う前のの手洗い法、抗菌薬の予防投与、術後の創処置などのポイントを押さえておかなければなりません。

ユニバーサルプレコーション(普遍的予防策)
以前は、特定の感染症患者のみを対象として感染防止策が適用されていましたが、1980年代にCDC(米国疾病管理予防センター)が、隔離予防対策のガイドラインを出し、「全ての血液と体液はHIV感染のシルクがある」として対応することになったのです。

接触感染の仲介となる手のリスクを最小限に抑えるため、手洗いは感染防止技術の中でも最重要となりました。そして手袋の着用と、石鹸と流水による、手洗いの機械・正確さがなどが細かく規定されました。

スタンダードプレコーション(標準予防策)
CDCと院内感染制御実施諮問委員会が、「病院における隔離予防のためのガイドライン」を改定し、血液・体液だけでなく、胸水や腹水、喀痰、尿、耳鼻分泌液等の湿性生体物質も、感染性があるものとして扱うことを基本的な感染予防対策としました。石鹸と流水の手洗いから、アルコールベースの手指消毒剤の使用を推奨し、手荒れの予防についても触れ、手洗い・手指消毒から手指生徒表現が統一されました。

病院のMRI(磁気共鳴画像装置)

磁場を利用して頭部をはじめとする体内の断面を撮影するMRI(磁気共鳴画像装置)は、他の画像検査装置と異なり、放射線を照射する必要がないため、被爆がないのがメリットです。元々は化学分析の技術(MRS:MRスペクトロスコピー)として使用されていましたが、1970年代の後半から医療への応用がスタートしました。

テスラが高いほど高性能

日本では、1980年代初頭に0.15テスラ(テスラ:磁場強度の単位)の臨床機から導入が始まり、現在ではその10倍、すなわち1.5テスラを有する機種が大病院を中心に広く普及しています。

MRIの国内の新規出荷台数は、年間500台(約500億円)で推移しており、主要メーカーはフィリップス、GE横河、シーメンス・ジャパンなどの外資系が中心となっています。CT(コンピューター断層撮影)の市場とは異なり、飽和状態にある市場規模を反映し、縮小傾向になっています。

MRIの画像精密度は、機器の発する磁場強度に依存して向上するため、近年は3テスラ以上の磁場を持つ機種が盛んに開発されています。海堂尊の医療小説「アリアドネの弾丸」のなかでは、海外には7テスラという超高性能のMRIがあるものの、重量が重過ぎて(40トン!)、特別航空便をチャーターしないと輸入できないという話が出ていました。

入院患者の献立作成を行う管理栄養士

病院では、入院した患者さんが1日でも早く回復して元の生活に戻れるように、おのおのの病状に応じた食事を提供しています。また、糖尿病などの生活習慣病の患者さんも増えていることから、病気の治療のために栄養指導の重要性は高まっています。

入院時にお世話になります

医師の食事箋にしたがって献立の作成行ったり、栄養管理・指導を行ったりする専門職が栄養士と管理栄養士です。栄養士は厚生労働省が指定した2年制あるいは3年制の短大か専門学校を卒業すれば取得できます。一方、管理栄養士になるためには、4年制大学などで管理栄養士養成課程を修了するか、栄養士として一定の実務経験を積み、国家試験に合格する必要があります。

外部に休職の調理などをアウトソーシング手いる病院であっても、管理栄養士が入院患者や外来患者に対して行う指導は、生活習慣病などの治療の一環として非常に重要です。耳朶区での食事が心配な患者さんやその家族に対して、調理の工夫をアドバイスし、栄養相談を行う場合もあります。

病院では、 100床以上に1名の栄養士、1回300食以上または750食以上の施設では1名以上の管理栄養士の配置が努力規定となっています。病院で働く栄養士は約 6000人、管理栄養士は約1万8000人です。診療報酬で、医師の指示に基づき栄養指導を行ったときにのみ「外来栄養食事指導料」、「入院栄養食事指導料」などが算定できるなど、より専門的な指導が求められるようになっているため、かなり栄養士を配置する病院が増えています。