看護師の院内感染(MRSA等)対策

医療機関のなかに感染源が存在し発症した感染症がいわゆる「院内感染」です。多種多様な抗菌薬が大量に投与された結果、院内環境には、耐性菌や複数の薬剤に対して耐性を持った多剤耐性菌が生き残るようになってしまったのです。大学病院を中心に院内感染の発生で高齢者が死亡する等の報道が度々なされており、医療機関は組織的かつ科学的に対策を実施する必要に迫られました。

手洗いは対策の基本

院内感染を引き起こす原因菌としてはグラム陽性球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌【MRSA】、バンコマイシン耐性陽球菌【VRE】、ペニシリン耐性肺炎球菌【PRSP】など)とグラム陰性棹菌(多剤耐性緑膿菌【MDRP】、セラチア菌、レジオネラ菌など)があります。

病院の医療従事者のなかでも患者さんとの接する機会が多い看護師は院内感染対策について正しい知識を持ち、医療現場で実践することは、患者さんの安全を守り、医療の質を向上させるだけでなく、職務上の曝露から起こる自らの感染を防止することになります。

新生児・小児、高齢者、糖尿病患者、手術後の患者などの易感染状態にある患者、あるいはICU、NICU、手術室など特定の部署ではそれぞれに合った院内感染対策が必要でとなります。例えば、手術室の看護師は手術部位感染(SSI)に注意し、オペを行う前のの手洗い法、抗菌薬の予防投与、術後の創処置などのポイントを押さえておかなければなりません。

ユニバーサルプレコーション(普遍的予防策)
以前は、特定の感染症患者のみを対象として感染防止策が適用されていましたが、1980年代にCDC(米国疾病管理予防センター)が、隔離予防対策のガイドラインを出し、「全ての血液と体液はHIV感染のシルクがある」として対応することになったのです。

接触感染の仲介となる手のリスクを最小限に抑えるため、手洗いは感染防止技術の中でも最重要となりました。そして手袋の着用と、石鹸と流水による、手洗いの機械・正確さがなどが細かく規定されました。

スタンダードプレコーション(標準予防策)
CDCと院内感染制御実施諮問委員会が、「病院における隔離予防のためのガイドライン」を改定し、血液・体液だけでなく、胸水や腹水、喀痰、尿、耳鼻分泌液等の湿性生体物質も、感染性があるものとして扱うことを基本的な感染予防対策としました。石鹸と流水の手洗いから、アルコールベースの手指消毒剤の使用を推奨し、手荒れの予防についても触れ、手洗い・手指消毒から手指生徒表現が統一されました。