磁場を利用して頭部をはじめとする体内の断面を撮影するMRI(磁気共鳴画像装置)は、他の画像検査装置と異なり、放射線を照射する必要がないため、被爆がないのがメリットです。元々は化学分析の技術(MRS:MRスペクトロスコピー)として使用されていましたが、1970年代の後半から医療への応用がスタートしました。
日本では、1980年代初頭に0.15テスラ(テスラ:磁場強度の単位)の臨床機から導入が始まり、現在ではその10倍、すなわち1.5テスラを有する機種が大病院を中心に広く普及しています。
MRIの国内の新規出荷台数は、年間500台(約500億円)で推移しており、主要メーカーはフィリップス、GE横河、シーメンス・ジャパンなどの外資系が中心となっています。CT(コンピューター断層撮影)の市場とは異なり、飽和状態にある市場規模を反映し、縮小傾向になっています。
MRIの画像精密度は、機器の発する磁場強度に依存して向上するため、近年は3テスラ以上の磁場を持つ機種が盛んに開発されています。海堂尊の医療小説「アリアドネの弾丸」のなかでは、海外には7テスラという超高性能のMRIがあるものの、重量が重過ぎて(40トン!)、特別航空便をチャーターしないと輸入できないという話が出ていました。